社内不倫の慰謝料相場は?請求方法や注意点を弁護士が解説

社内不倫の特徴

オフィスでPCを入力している手元

配偶者の不貞相手が同じ職場の人だった——実際のご相談でも、不倫相手が「職場の同僚・上司・部下」であるケースは非常に多く見られます。社内不倫には、他の不貞事案とは異なるいくつかの特徴があります。

接触の機会が日常的にある。

出張、残業、飲み会など、外部からは不自然に見えない口実がいくらでも作れます。そのため関係が長期化しやすく、発覚も遅れがちです。

「既婚者と知らなかった」という言い訳が通りにくい。

慰謝料請求が認められるには、不倫相手が配偶者の既婚を知っていたか、知らないことに落ち度があったことが必要です。社内では結婚の事実が周知されていることが通常ですから、この点で争いになりにくいのが実情です。

上司と部下の関係が絡むことがある。

職務上の立場を利用して関係を迫っていた場合、悪質性が高いと評価され、慰謝料の増額につながります。

発覚後も同じ職場に居続ける。

関係を断ち切ったはずが顔を合わせ続けるため、再発への不安が消えません。示談の際に接触の制限をどう定めるかが、他の事案以上に重要になります。

証拠が社内に散在している。

勤怠記録、出張記録、社内チャットなど、有力な証拠が会社の管理下にあり、そのまま入手すると別の問題を招くおそれがあります。

社内不倫で慰謝料請求できる?

社内でハートの模型を渡している様子

配偶者以外の相手と性的関係を持つ行為(不貞行為)は、夫婦の平穏な関係を害する不法行為にあたります。
したがって、
配偶者本人と不倫相手の双方に対して、慰謝料を請求できます。

ただし、次のような場合には請求が難しくなります。

  • 不倫相手が既婚であることを知らず、知らなかったことに落ち度もなかった場合
  • 不貞が始まる前に、すでに夫婦関係が破綻していた場合
  • 時効が完成している場合——不貞の事実と相手方を知った時から3年で時効にかかります

また、注意していただきたい点として、不倫相手に対しては、「離婚したこと自体」による慰謝料までは原則として請求できません。
最高裁は、特段の事情がない限り、不貞相手が離婚そのものによる損害の賠償責任を負うことはないと判断しています。
請求できるのは、あくまで不貞行為によって受けた精神的苦痛に対する賠償です。

社内不倫の慰謝料相場は?

電卓とお財布

金額はご夫婦のその後の状況によって、おおむね次のような幅になります。

婚姻関係のその後

慰謝料の目安

婚姻関係を継続する

50万円〜100万円程度

別居に至った

100万円〜200万円程度

離婚に至った

100万円〜300万円程度

これはあくまで目安であり、次のような事情によって増減します。

増額されやすい事情

不貞期間が長い、頻度が高い、妊娠・出産に至った、幼い子どもがいる、婚姻期間が長い、職務上の地位を利用していた、発覚後も関係を続けた、反省が見られない。

減額されやすい事情

不貞期間が短い、すでに夫婦関係が冷え込んでいた、請求する側にも一定の落ち度がある、相手方が真摯に謝罪し関係を解消している。

社内不倫で慰謝料請求するにはどのような証拠が必要?

スマホとボイスレコーダーが机の上に置いてある様子

必要なのは、「性的関係があったこと」を推認させる証拠です。
手をつないでいた、二人きりで食事をしていたという程度では足りません。

有力な証拠としては、次のものが挙げられます。

  • ラブホテルへの出入りや、宿泊を伴う外出を示す写真・動画
  • 関係をうかがわせるLINE・メールのやりとり
  • クレジットカードの明細、ホテルの領収書、交通系ICカードの履歴
  • 本人が関係を認めた録音や書面(念書)
  • 探偵事務所の調査報告書

社内不倫では、これに加えて出張記録や勤怠記録、社内の目撃証言が状況証拠として役立つことがあります。

一方で、証拠の集め方には十分な注意が必要です。
会社が支給したパソコンやメールに無断でアクセスする行為は、法令違反や社内規程違反を問われるおそれがあります。
相手方のスマートフォンを勝手に操作する、車両にGPS機器を取り付けるといった方法も、違法と評価されるリスクがあります。
集め方を誤ると、こちらが責任を追及される立場になりかねません。

社内不倫による慰謝料請求の方法

社内不倫による慰謝料請求の方法

話し合い・内容証明郵便による請求

まずは不倫相手に対し、請求の意思と金額を書面で通知します。内容証明郵便は、請求した事実と日付を証拠として残せるため、時効が迫っている場面でも意味を持ちます。

示談交渉

金額のほか、今後の接触禁止、違約金、口外禁止といった条項を詰めていきます。合意内容は必ず示談書として書面化します。

訴訟

交渉がまとまらない場合は、裁判所に訴訟を提起します。
判決までには半年から1年以上かかることもあり、証拠の充実度が結論を左右します。

慰謝料請求をする際のポイント

ポイント

会社に暴露しない。

上司や人事に一方的に伝える、社内で言いふらすといった行為は、名誉毀損や業務妨害として、逆に損害賠償を請求される可能性があります。
職場に押しかけることも避けてください。

求償権への対応を忘れない。

不倫相手が慰謝料を支払った後、共同で責任を負う配偶者に対して負担分を請求(求償)することができます。
婚姻を継続する場合、家計は同一ですから、これでは実質的に手元に残りません。
示談書に
求償権を放棄する条項を盛り込むことが重要です。

接触禁止条項を具体的に定める。

同じ職場である以上、「一切接触しない」では業務上不可能です。
業務上必要な範囲を除く、二人きりにならない、私的な連絡をしないなど、
実行可能な形で定める必要があります。

時効を管理する。

不貞の事実と相手方を知ってから3年です。
まずは請求の意思を書面で示し、時間を確保することを検討してください。

 

職場不倫の慰謝料請求を弁護士に相談するメリット

弁護士に相談している女性の手元

弁護士が代理人となることで、相手方と直接顔を合わせずに交渉を進められます。
感情的な対立が激化しやすい場面だけに、この意味は小さくありません。

また、事案の事情を踏まえた適正な金額の見通しをお示しできます。
相場から離れた過大な請求は、かえって交渉を長引かせる原因になります。

さらに、お持ちの証拠が使えるものか、追加で何を集めるべきか、その方法は適法かといった点も具体的に助言できます。
求償権放棄や接触禁止を含む示談書の作成も、後の紛争を防ぐうえで欠かせません。

お気軽に弁護士にご相談を

弁護士法人山本総合法律事務所は、高崎市と前橋市の2拠点で、群馬県全域および周辺地域からのご相談をお受けしています。
8名の弁護士が在籍し、不貞慰謝料や離婚のご相談に幅広く対応してまいりました。

「請求できるだけの証拠があるのか分からない」「離婚するかどうかはまだ決めていない」——そうした段階でのご相談も歓迎しています。
時効という期限がある問題ですので、お一人で悩まれる前に、どうぞお気軽にお問い合わせください。