目次
「過去の浮気で慰謝料請求はできるのだろうか?」とお考えの方もいると思います。
実は、過去の浮気であっても配偶者および浮気相手に対して慰謝料請求ができる可能性があります。ただし、慰謝料請求には、時効がありますので、時効が成立した後だと慰謝料請求はできなくなってしまいます。そのため、過去の浮気に対して慰謝料請求をお考えの方は、すぐに行動することが大切です。
今回は、過去の浮気に対して慰謝料請求をするための条件と慰謝料請求のポイントについて、わかりやすく解説します。
過去の浮気に対して慰謝料を請求できる条件
過去の浮気に対して慰謝料を請求するためには、以下のような条件を満たす必要があります。
肉体関係を伴う浮気があったこと
過去の浮気に対して慰謝料請求をするには、肉体関係を伴う浮気があったことが必要です。
配偶者以外の異性と食事をした、映画を見に行った、手をつないだ、キスをしたというだけでは原則として慰謝料を請求することはできません。ただし、肉体関係までなかったとしてもお互いの親密度が夫婦の平穏な共同生活を送る権利を侵害していると評価できる場合には、例外的に慰謝料請求ができる可能性もあります。
お互いに自由意思で浮気をしていること
慰謝料を請求するには、自らの意思で浮気をしたということが必要です。
肉体関係を伴う浮気があったとしても、暴行や脅迫などにより自由意思を制圧される形で無理やり肉体関係を持たされた場合は、法的責任はありませんので、慰謝料請求をすることはできません。
既婚者であることを知っていたこと
浮気相手に対して慰謝料請求をする際には、浮気相手が相手のことを既婚者だと知っていたことが必要です。
ただし、既婚者であることを明確に知っていた場合だけではなく、相当な注意を払えば既婚者であることに気付けた場合にも慰謝料請求が可能です。
なお、配偶者に対する慰謝料請求では、配偶者は既婚者であることを当然知っていますので、この条件は問題にはなりません。
【参考】「既婚者であると知らなかった」ら慰謝料は払わなくて良い?証拠集めの方法も弁護士が解説
夫婦関係が破綻していなかったこと
浮気をした時点で夫婦関係が破綻していなかったことが条件になります。
浮気に対する慰謝料請求は、夫婦が円満に過ごすという法律上の利益を侵害することで認められるものになりますので、そもそも夫婦関係が破綻していた場合には、守るべき法益が存在しないため、慰謝料請求をすることはできません。
【参考】「すでに夫婦関係が壊れていた」のに慰謝料請求された方へ
慰謝料請求の時効
浮気に対する慰謝料請求の条件を満たしていたとしても、一定期間が経過してしまうと時効により慰謝料請求ができなくなる可能性があります。以下では、慰謝料請求の時効について説明します。
(1)浮気されていることを昔から知っていた場合
浮気の慰謝料請求の時効は、浮気を知ったときから3年です。
そのため、浮気されていることを昔から知っていた場合には、浮気を知ったときから3年を経過してしまうと、時効により慰謝料請求ができなくなってしまいます。
ただし、浮気相手に対する慰謝料請求であれば、浮気相手を特定した時点が時効の起算点になりますので、配偶者に対する慰謝料請求が時効になっていたとしても、浮気相手に対して慰謝料請求ができる可能性があります。
なお、離婚慰謝料として請求する場合には、離婚したときから3年が時効になります。そのため、過去の浮気を知ったのが3年以上前であったとしても、離婚慰謝料として請求することが可能です。
(2)浮気されていることを最近知った場合
浮気されていることを最近知ったとき場合は、3年の時効はまだ経過していませんので、基本的には慰謝料請求が可能です。
ただし、浮気の慰謝料の時効には、20年の時効もありますので、浮気があったときから20年を経過している場合には、時効により慰謝料請求をすることができません。
過去の浮気に対する慰謝料請求のポイント
過去の浮気に対して慰謝料請求する際には、以下のポイントを押さえておきましょう。
慰謝料請求の時効の完成を阻止することができる
慰謝料請求には時効がありますので、時効完成前に慰謝料請求することが重要です。
もっとも、時効には、「完成猶予」と「更新」という時効の完成を阻止することができる制度が設けられていますので、時効期間が迫っている場合には、完成猶予または更新により、時効の完成を阻止することができます。
①時効の完成猶予
時効の完成猶予とは、時効期間の進行を停止し、一時的に時効の完成を阻止できる制度です。
時効の完成猶予事由としては、以下のような事由が挙げられます。
- 裁判上の請求
- 強制執行
- 仮差押え、仮処分
- 催告
- 権利について協議を行う旨の書面による合意
たとえば、内容証明郵便を利用して慰謝料請求をすれば、時効の完成猶予事由である「催告」に該当し、時効の完成を6か月間猶予することができます。
②時効の更新
時効の更新とは、時効期間の進行をリセットして、時効の完成を阻止できる制度です。
時効の更新事由としては、以下のような事由が挙げられます。
- 裁判上の請求
- 強制執行
- 承認
たとえば、慰謝料請求訴訟を提起し、確定判決により権利が確定するとその時点で時効の更新となります。
慰謝料請求には浮気の証拠が必要
慰謝料を請求するためには、浮気をしたということを証拠により立証していかなければなりません。証拠がなければ慰謝料請求は困難ですので、慰謝料請求の前提として、十分な証拠を確保しておくことが大切です。
浮気の慰謝料請求で必要になる主な証拠としては、以下のようなものが挙げられます。
- 配偶者と浮気相手が性行為をしている動画
- 配偶者と浮気相手が裸で抱き合っている写真
- 肉体関係をほのめかす内容のLINEやメール
- ラブホテルに入っていくところを撮影した動画や写真
- 探偵事務所の調査報告書
配偶者だけでなく浮気相手に対しても慰謝料請求ができる
浮気の慰謝料は、配偶者だけではなく浮気相手に対しても請求することができます。
ただし、両者に対して請求できるといっても、二重に慰謝料の支払いを受けられるわけではありません。たとえば、浮気の慰謝料の相場が200万円の事案であれば、配偶者と浮気相手のどちらか一方または双方に対して200万円を請求することができます。しかし、どちらか一方から200万円の支払いを受けた場合、すでに満額の慰謝料が支払われているため、他方からは慰謝料の支払いを受けることはできません。
【参考】浮気・不倫相手に慰謝料請求は可能?慰謝料請求を成功させるためのポイントを解説
過去の浮気に対する慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット
過去の浮気に対する慰謝料請求は、以下のようなメリットがありますので、弁護士に依頼するのがおすすめです。
慰謝料の時効に配慮した対応ができる
過去の浮気に対する慰謝料請求は、浮気から一定期間が経過しているため、時効により権利が消滅している可能性があります。具体的な状況によって時効の起算点が変わってきますので、慰謝料請求をお考えの方は、まずは弁護士に相談するようにしましょう。
弁護士であれば、時効が完成しているかどうかを正確に判断することができ、時効が完成していないようであれば時効の完成猶予や更新により、将来の時効の完成を阻止することができます。
代理人として慰謝料請求ができる
弁護士に依頼をすれば、弁護士が代理人として配偶者や浮気相手との交渉を担当することができます。慰謝料請求は、精神的にも負担の大きい手続きになりますので、弁護士に任せることで精神的負担を大幅に軽減することができます。
また、弁護士であれば相場を踏まえた適正な金額で慰謝料請求ができますので、不利な条件で示談をしてしまうリスクもありません。
まとめ
過去の浮気であっても慰謝料請求は可能です。しかし、浮気から時間が経っていると時効のリスクがありますので、慰謝料請求を検討中の方はすぐに行動するようにしましょう。その際には、弁護士に相談することで、時効や証拠収集に関するアドバイスやサポートを受けることができますので、自分で行動する前に一度弁護士に相談することをおすすめします。
過去の浮気に対する慰謝料請求をお考えの方は、経験と実績豊富な弁護士法人山本総合法律事務所までご相談ください。