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慰謝料請求を受けたときには「やってはいけないこと」がいくつかあります。
意識しなくても不適切な行動をとると、後に不利になってしまう可能性が高くなってしまいます。
慰謝料請求されたときには「やってはいけないこと」と「とるべき対処法」を正しく把握しておくことが重要です。
今回は弁護士が慰謝料請求をされたときの対応方法を解説しますので、不倫が発覚して慰謝料を請求されている方はぜひ参考にしてみてください。
1.慰謝料請求をされたときやってはいけないこと7つ
不倫の慰謝料請求をされたとき、以下のような行動をとってはなりません。
典型的な「やってはいけない行動」を7つ、ご紹介します。
1-1.無視する
相手からの慰謝料請求は「内容証明郵便」で行われるケースが多数です。内容証明郵便とは、郵便局が内容を証明してくれるタイプの郵便をいいます。特殊な書式になっていて手渡しで届けられるので、内容証明郵便であることは通常、すぐにわかるでしょう。
内容証明郵便が届いたら、無視してはなりません。回答期限や入金期限が記載してあるのが一般的なので、期限内に相手に連絡を入れるべきです。
受け取りができなかった場合には、無視せず再配達の依頼を出して受け取りましょう。
無視していると、相手から裁判を起こされる可能性が高くなります。
裁判になると費用も労力も時間もかかってしまうので、まずは請求書を受け取って話し合いによる解決を目指すのが得策です。
1-2.相手の提示する金額にそのまま応じる
慰謝料請求されたとき、相手の請求額にそのまま応じるべきではありません。
相手の請求金額が法的に適正とは限らないからです。
法的な不倫の慰謝料の相場は以下のようになっています。
夫婦が離婚する場合(夫婦関係が破綻した場合)
婚姻期間が1~3年程度であれば100~150万円程度、婚姻期間が3~10年程度であれば150~300万円程度、婚姻期間が10年以上の場合には300万円やそれ以上の金額が相場です。
夫婦が離婚しない場合(夫婦関係を修復する場合)
相手夫婦が関係を修復する場合(婚姻関係が破綻しなかった場合)、慰謝料額の相場は100万円以下になります。
ところが実際には上記の相場よりも大きな金額を請求してくる人が少なくありません。
その場合、法的に支払義務がないので減額を申し出る必要があります。
ただいったん高額な慰謝料に合意してしまったら、後から撤回するのは簡単ではありません。
相手から提示を受けたとき、よく考えずに「言い値」を払うと慰謝料の「払いすぎ」になってしまう可能性があるのです。
慰謝料請求をされたら、請求金額が法的に適正といえるのか、見定める必要があります。
冷静に受け止めて慰謝料の相場と相手の請求額を比較してみましょう。
1-3.証拠を与えてしまう
相手から慰謝料請求をされたとき、不倫の証拠を与える言動をしてはなりません。
法律上の不倫を「不貞」といいますが、相手が不貞を証明するには「肉体関係」を証明する必要があります。
ただ、実際には肉体関係の明確な証拠をつかんでいなくても慰謝料請求する人が少なくありません。相手にしてみたら「できれば肉体関係の証拠を取得したい」と考えているのです。
そういった状況において、不倫相手(慰謝料請求された人)が不貞を認めたら、不貞の証拠にされてしまいます。
たとえば「不貞行為の自認書」を書くよう求められても書いてはなりません。
口頭であっても録音されている可能性があるので、不貞を認めるべきではありません。
1-4.不利な発言をする
肉体関係を認める以外にも不利になる発言をすべきではありません。
たとえば以下のような事項に言及する場合には十分慎重になるべきです。
- 不貞行為の期間
- 不貞行為の回数や頻度
- 不倫に自分が積極的であったこと
- 子どもができたことや中絶、出産したこと
自分で話をするとついついしゃべってしまいそうになる方は、弁護士に代理人を任せるようお勧めします。
1-5.感情的になってしまう
相手と話をするとき、感情的になるべきではありません。
こちらが感情的になると相手も感情的になります。
お互いに感情が激化すると、相手が慰謝料の減額に一切応じなくなったり訴訟に踏み切ったりして、こちらが不利益を受けてしまうおそれが高まります。
できる限り感情を抑えてビジネスライクに話をしましょう。
なお不貞していた場合、相手に謝罪の言葉を述べるのは良いですが、過度に自分が悪いかのような言動をとるべきではありません。
1-6.納得していないのに書類にサインする
不倫の慰謝料請求では、話し合いの最中に相手から書類へのサインを求められるケースがよくあります。
このとき、納得していないのに書類にサインしてはなりません。
たとえば相手は以下のような書類にサインすると問題が発生します。
- 浮気の自認書
サインすると浮気を認めたことになって浮気の証拠にされてしまいます。
- 示談書
サインするとそこに書かれてある慰謝料を払わねばならない効果が発生します。
後から「書類の意味がわからなかった」「実際には納得していなかった」などと言っても通用しないケースがほとんどです。
相手から脅迫されて書面の作成に協力せざるをえない状況に追い込まれそうなら、早めに弁護士へ相談しましょう。弁護士に依頼してしまえば弁護士が窓口となって対応するので、示談書などへのサインを強制されることはなくなります。
1-7.借金して慰謝料を払う
慰謝料を払えないからといって借金をして払ってはなりません。
カードローンなどで借金をすると、高額な利息がかかって自分の首を絞めてしまうからです。
払えないなら減額交渉や分割払いの交渉をすべきです。相手が強硬で減額や分割払いに応じてもらえないなら、弁護士へ相談してみてください。
2.慰謝料請求されたときの正しい対処方法
慰謝料請求されたときには、以下のように対応しましょう。
2-1.支払義務があるかどうか確認
まずは慰謝料の支払い義務があるかどうか確認しましょう。
以下のような場合には、慰謝料を払わなくて良い可能性があります。
- 肉体関係がない
- 不倫が行われてから3年以上が経過している
- 不倫を開始したとき、すでに相手夫婦が別居していた
- 肉体関係を望んでおらず、相手から強要された
別居には至っていなくても不倫を開始したときに相手の夫婦仲が「悪化」していた場合には、慰謝料を減額できる可能性もあります。
慰謝料請求をされたら、まず上記にあてはまる項目がないか確認してみてください。
2-2.請求金額が妥当か確認
慰謝料が発生するとしても、相手の請求金額が妥当とは限りません。請求金額が法的に適正といえるのか検証すべきです。
慰謝料の金額は相手夫婦が離婚するかしないかで大きく変わります。中には夫婦関係を修復するにもかかわらず300万円や500万円などの高額な慰謝料を請求してくる人もいます。
相手の請求金額が適正といえるのか、検討しましょう。
2-3.慰謝料を支払えるか確認
適正な慰謝料額が明らかになったとしても、その金額を払うのが難しいケースが少なくありません。収入が低く貯金もない方も多数います。ただし借金して慰謝料を払ってはなりません。自分自身の資力から慰謝料を払えるかを確認しましょう。
2-4.減額や分割払いの交渉
慰謝料請求に合意して払ってしまう前に、減額や分割払いの交渉をしましょう。
相手の請求金額が相場より高額なら相場程度に下げることができますし、相場通りでもこちらに支払い能力がなかったら相場以下に下げてもらえる可能性があります。
交渉によって分割払いを認めてもらえたら、手元にお金がなくても慰謝料を支払いやすくなります。
交渉は弁護士に任せる方が有利になりやすいので、自分で対応するのに疲れたり不利になりそうだったりする場合には弁護士に依頼しましょう。
群馬の山本総合法律事務所では不倫慰謝料請求された方へのサポートに熱心に取り組んでいます。慰謝料請求をうけて不安な気持ちになっている方、適切な対処方法がわからない方はお早めにご相談ください。