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近年、マッチングアプリは恋愛や出会いの手段として広く利用されるようになりました。しかしその一方で、「実は既婚者だった相手と交際していた」といったトラブルも増えています。
とくに深刻なのが、相手が既婚者であることを知らずに交際していたにもかかわらず、不倫の慰謝料を請求されるというケースです。
このコラムでは、そうしたトラブルに巻き込まれた際の対応方法や注意点を弁護士の視点から解説します。
慰謝料を請求されたら最初に確認すべきポイント
慰謝料を請求されたときには、次の2点が特に重要な判断材料になります。
ポイント①:相手が既婚者だと知っていたか?
不倫慰謝料が認められるかどうかは、相手が既婚者であることを知っていた、または知ることができたかが大きなポイントです。
不貞行為に対する慰謝料の支払い義務は、相手が既婚者であることを知っていた、または知ることができた場合に発生するのが原則だからです。
独身だと信じていたと主張できる例
下記の様に、相手の虚偽や隠蔽によって既婚者であることを知ることができなかった場合には、慰謝料の支払いを拒否できる可能性があります。
- 相手が未婚だと聞かされていた
- プロフィールに「独身」と記載されていた
- 結婚指輪をしていなかった
- 家庭の話が一切なかった
ただし、LINEのやりとりやSNSの投稿などで、相手が既婚者であることを示唆する情報があったにもかかわらず、それを見逃していた場合には、知らなかったという主張が通りにくくなるおそれがあります。
ポイント②:婚姻関係は破綻していたかどうか
もう1つの重要なポイントは、相手夫婦の婚姻関係が破綻していたかどうかです。
不貞行為が成立するには、相手夫婦の婚姻関係が「継続していること」が条件だからです。
「破綻していた」とみなされるための例
- 長期間別居しており、実質的な夫婦関係が存在しない
- すでに離婚協議がまとまり、離婚届の提出待ちであった
ただし、「離婚協議中」や「夫婦関係がうまくいっていない」という曖昧な主張では不十分です。第三者から見て明らかに夫婦関係が破綻していたという客観的な証拠が必要です。
マッチングアプリでの出会いが原因で慰謝料請求されたときの対応
自己判断せず、まずは弁護士に相談を
突然、慰謝料請求の通知(とくに内容証明郵便)が届くと、驚きや動揺で冷静な判断ができなくなることもあるでしょう。
しかし、次のような行動はNGです。
やってはいけない対応
- 謝罪の手紙を送る
- 金銭を支払う
これらは「不貞を認めた」と見なされ、法的に不利な状況に追い込まれる可能性があります。
必ず、弁護士に相談して、次の点を明確にしましょう。
- 支払義務の有無
- 交渉による減額の可能性
- 法的対応の進め方
弁護士に相談するメリット
弁護士は、経緯や証拠をもとに、法的な立場を整理し、最善の対応策をアドバイスすることができます。場合によっては、慰謝料を支払う必要がないケースもありますし、仮に支払いが必要な場合でも、金額や支払方法を交渉することで、負担を軽減できる可能性もあります。
既婚者であることを黙っていた相手に慰謝料を請求することはできるか
一方で、「自分は既婚者であることを知らずに交際していた。なのに慰謝料を請求されるなんて理不尽だ」と感じる方もいるでしょう。
このような場合には、不法行為(民法709条)に基づいて、損害賠償請求を行うか検討することとなります。
請求が認められる条件
請求が認められるためには、
- 「相手が故意に既婚者であることを隠した」
- 「それによって精神的な苦痛を受けた」
といった事実を、証拠とともに立証する必要があります。
チャット履歴やプロフィール画面、LINEのやりとりなどが証拠となる可能性があります。
証拠が不十分であれば、請求が認められないため、弁護士とともに慎重に対応を検討する必要があります。
まとめ|マッチングアプリのリスクと弁護士の重要性
マッチングアプリは便利な反面、相手の身元が確実ではないため、法的トラブルのリスクも内在しています。
トラブルに巻き込まれたら確認すべきポイント
- 相手が既婚者だと知っていたか?
- 婚姻関係は破綻していたか?
- 自分が被害者なら損害賠償請求を検討できるか?
こうした事実を整理したうえで、安易な対応は避け、必ず弁護士に相談しましょう。
マッチングアプリが原因で慰謝料請求されたら、弁護士法人山本総合法律事務所へ
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このようなお悩みがある方は、一人で抱え込まず、早めにご相談ください。