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この記事をお読みのあなたは、今、相手配偶者から不倫慰謝料を請求されて、請求された金額に驚かれているかもしれません。
しかし、今この段階でその金額を払わなければいけないことが確定しているわけではありません。
相手配偶者が請求してきた金額はあくまで「この金額を払ってもらえたらいいな」という希望額に過ぎません。
そもそも、相手配偶者がはじめから相場より低い金額を請求してくることは考えづらいところです。はじめから低い金額を請求してしまうと、そこから金額を下げるのは簡単ですが、上げることは難しいからです。
そのため、相手配偶者としてはあなたが払えそうにないとはわかっていても、はじめは高い金額を設定して請求してくるのです。
相手配偶者が請求した金額が、あなたのケースに照らして適切かどうかはわかりません。
つまり、これから金額について交渉する余地はあるといえます。
不倫慰謝料の話し合いで解決する場合は話し合いで、調停で解決する場合は調停で、裁判で解決する場合は裁判で確定した金額が、最終的にはあなたが払わなければならない金額となります。
不倫慰謝料を減額できる可能性のあるケース
では、どのようなケースであれば不倫慰謝料を減額できる可能性があるのでしょうか?
ここでは不倫慰謝料を減額できる可能性のあるケースをいくつかご紹介します。
相手の夫婦関係が破綻状態に近かった
まず、不倫した当時、相手の夫婦関係が破綻状態に近かった場合です。
夫婦関係が良好な場合は、不倫によって相手配偶者が受けた精神的ダメージは大きいと考えられ、慰謝料が増額する可能性がありますが、その逆の状態であれば減額できる可能性があります。
なお、別居期間が長いなどの事情があり、不倫した当時すでに夫婦関係が破綻していた場合には慰謝料請求そのものができない可能性があります。
不倫の回数が少ない、期間が短い
次に、不倫の回数が少ない、あるいは相手と交際のあった期間が短い場合です。
不倫の回数が多い、あるいは相手との交際期間が長ければ長いほど相手とは親密な関係にあったということを意味します。
したがって、この場合は慰謝料が増額する可能性がありますが、逆の場合であれば減額できる可能性があります。
相手に落ち度がある場合
次に、相手に落ち度がある場合です。
たとえば、相手から「すでに夫婦関係は破綻している」などの嘘をつかれて交際していた、上司・部下の関係にあった、関係を強要されていたなど不倫関係を断れる状況ではなかった事情が認められる場合は減額できる可能性があります。
相手夫婦が離婚をしない
次に、不倫が発覚したことをきっかけいに、相手夫婦が離婚をしない場合です。
離婚は夫婦関係の破綻、家庭の崩壊をもたらすものです。
不倫によって相手夫婦を離婚に追い込んだ責任は大きく、相手配偶者に与える精神的ダメージも甚大ですから、慰謝料は増額する可能性があります。
一方、離婚しない場合は夫婦関係を破綻に追い込んだとはいえないことから減額できる可能性があります。
相手夫婦の婚姻期間が短い
次に、相手夫婦の婚姻期間が短い場合です。
婚姻期間(おおよそ3年未満が目安)が比較的短い場合は夫婦としての歴史、絆が浅く、不倫によって夫婦関係を壊壊されたことに対する精神的ダメージは小さいと一般に考えられます。
したがって、慰謝料を減額できる可能性があります。
相手に経済力がない
次に、相手に経済力がない場合です。
いくら相場に見合う慰謝料を請求したとしても、相手があなたにお金を払うだけの経済力が相手になければ意味がありません。
相手に経済力がなく、請求した慰謝料をきちんと払ってくれる見込みがない場合はやむを得ず減額せざるをえない場合も出てくるでしょう。
求償権を放棄した場合
最後に、求償権を放棄した場合です。
求償権とは、あなたと同じく慰謝料支払義務を負っている相手に対して「私があなたの代わりに払った分を返して」と請求できる権利のことです。
相手夫婦が離婚しない場合、相手配偶者はあなたから相手に対して求償権を行使されることを嫌うでしょう。
仮にあなたから求償権を行使されると、相手夫婦の財布に入るお金が減る可能性があるからです。そのため、相手配偶者はあなたに対して「求償権を放棄してくれたら、代わりに慰謝料を減額します」などといって慰謝料減額に合意してくれる可能性があります。
【参考】慰謝料請求のポイント9つ
不倫慰謝料を請求された場合の対応・流れ
ここからは相手から不倫慰謝料を請求された場合の対応や流れについてみていきましょう。
請求内容を確認する
まず、相手が請求している内容を確認します。
確認する内容は次のとおりです。
- 不倫の事実(いつ(orいつからいつまで)、誰と、どこで、何をしたことに対する慰謝料請求なのか?)
- 慰謝料の金額
- 支払い方法(口座振り込みか手渡しか、一括か分割かなど)
- 支払期限
- その他の相手の希望する条件
口頭で請求された場合は相手の請求内容をあとで正確に思い出すのが難しくなります。
そのため、口頭で請求された場合は、書面あるいはLINE・メールなど形に残るもので請求するよう要求してみましょう。
請求内容はきちんと確認することが大切です。請求内容によってはそもそも慰謝料を支払わなくて済む場合も考えられます。
また、慰謝料は払わなくてはいけない場合でも、請求された慰謝料が相場を大幅に超えていて払う必要のない金額まで含まれている可能性もあります。
相手に弁護士がついている場合、上記の判断に迷う場合は一人で対応しようとせず弁護士に相談した方がよいでしょう。
話し合いをして示談書を取り交わす
不倫が事実で、不倫慰謝料を払わなければいけないことを認める場合は話し合いをします。
話し合いは相手と折り合いをつけることです。したがって、話し合いでの解決を目指す場合は、すべてあなたの思い通りにならないことは覚悟しておかなければいけません。
話し合いを行うにあたっては、まずは反省や謝罪の意思を伝え、慰謝料をきちんと払う意思がることを伝えることが大切です。
その上で、感情的にならず、自分の要求を伝えつつも相手の要求にも耳を傾け、折り合いをつけることができるポイントを見つけていくことが求められます。
話し合いが負担、自信がない、相手と顔を会わせたくないという場合や相手に弁護士がついている場合は、弁護士に依頼した方がよいでしょう。
相手と折り合いをつけることができ、話がまとまった場合は示談書を作成します。通常、相手が示談書の案を作成してきますから、必ず内容を確認し、不明な点や修正して欲しい点がある場合はためらわずに相手に伝えましょう。
相手が提示してきた内容でサインしてもよいのか判断に迷う場合は弁護士に相談しましょう。
間違っても内容を確認しないままサインすることは避けましょう。
【参考】不倫慰謝料の示談書作成のポイント
話し合いで解決できない場合は調停、裁判
話し合いでの解決を試みたものの、折り合いをつけることができなかった場合は調停や裁判を申し立てられる可能性があります。
調停は裁判所での話し合いという側面があります。
裁判と手続きが緩やかで、調停委員という第三者が間に入るため、一人で手続きを進めることもできなくはありません。
一方、裁判はもはや話し合いの場ではありません。
裁判の手続きは厳格で難しいため、一人で手続きを進めることは難しいでしょう。
相手がいずれの手続きを選択してくるかはわかりませんが、話し合いで解決できなかったことを考えると裁判を選択される可能性も高いといえます。
もし、相手との話し合いが上手くいかず、その時点で弁護士に相談、依頼していないときは、はやめに弁護士に相談した方がよいでしょう。
【参考】不倫慰謝料を請求された!裁判外交渉のメリット・デメリット
不倫慰謝料の減額について弁護士に相談、依頼するメリット
先ほども述べましたが、何らかの判断に迷う場合、相手と顔を会わせたく場合などは弁護士に依頼した方がよいでしょう。
しかし、弁護士に依頼するとある程度の費用はかかってしまいます。
では、費用を負担してまで弁護士に依頼するメリットとはどこにあるのでしょうか?
この点、弁護士に依頼するメリットとしては次の点をあげることができます。
- 相手と接触する必要がない
- 冷静な話し合いができる
- スピーディーに解決できる
- 相手の思い通りにされない
- 自分の思い、考えを伝えることができる
いずれも大きなメリットですが、特に、相手と接触する必要がない、話し合う必要がないという点は大きなメリットではないでしょうか?
相手と直接会ったり、メールのやり取りをすることは精神的にも大きな負担です。
弁護士に依頼すれば、精神的なストレスから解放され、交渉のことに気をとられず日々の生活を送ることができるでしょう。
また、冷静な話し合いができ、スピーディーにお互いが納得のいく結果を出してくれる点もメリットといえます。
解決事例
- 不貞の慰謝料が300万から120万に減額された事例
https://yamamotosogo-isyaryo.com/case/case-2336/
- 既婚女性と不倫してしまい、その夫から請求された慰謝料500万円を130万円に減額した事例
https://yamamotosogo-isyaryo.com/case/column-1320/
慰謝料の減額交渉は弁護士にお任せください。
不倫をしてしまって慰謝料を請求された場合でも、相手が請求する金額を言われるままに支払うことはNGです。
法的に支払義務のない程に高額な慰謝料を支払う必要はないですし、場合によって更に金銭を支払うよう要求されトラブルが拡大するおそれがあります。
不倫をしたのだとしても、事実関係を精査し、適切な慰謝料の金額を算定する必要があります。
また、経済的事情を伝えたり反省や謝罪を行うことで慰謝料を減額できることもあります。
弁護士に相談すれば、その事案に適切な慰謝料の金額を算出し、個別具体的な事情を加味しながら示談交渉を進めることで支払うべき慰謝料を減額できるでしょう。
当事務所には不倫慰謝料の示談交渉の数多くの実績があり、たしかな経験とノウハウを持つ専門の弁護士がご相談をお受けします。まずはお気軽にお問合せください。