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不倫関係が相手の配偶者に発覚したとき、多くの人は「謝ったほうがいいのか」「すぐに慰謝料を払わなければいけないのか」などと混乱し、焦って間違った行動をしてしまいがちです。
しかし、感情的な対応や軽率な行動が、かえって事態を悪化させてしまうこともあります。
今回は、不倫が発覚した場合の適切な対応、謝罪のリスクや注意点、慰謝料請求への対処法について解説します。
不倫が発覚した場合の対応

不倫が相手の配偶者に知られた場合、まずすべきことは「冷静になること」です。
突然連絡が来たり、内容証明郵便で慰謝料を請求されたりすると、驚いて謝罪したくなるかもしれませんが、感情的な対応は避けるべきです。
不倫は民法上の「不法行為」として損害賠償(慰謝料)請求の対象になりえますが、その前提として「違法性」や「損害」が必要です。
事実関係が曖昧なまま謝罪してしまうと、後に不利な証拠として扱われる可能性もあるため、まずは自分の立場と相手の主張を整理する必要があります。
弁護士に相談するメリット
不倫のトラブルは、非常に感情的な対立を引き起こすため、当事者同士でのやりとりは危険を伴います。
特に慰謝料の額や謝罪の仕方をめぐって話がこじれると、裁判に発展することもあります。
弁護士に相談することで、次のようなメリットがあります。
- 法的に見て責任があるのかどうかを冷静に判断できる
- 慰謝料の金額が妥当かどうかを検討できる
- 直接のやり取りを避け、精神的な負担を軽減できる
- 示談交渉や謝罪文・示談書などの作成を任せられる
弁護士は、感情に流されず、事実に基づいたアドバイスをしてくれるため、不倫トラブルに巻き込まれたときの心強い味方になります。
謝罪のリスク

不倫が発覚したからといって、すぐに謝罪するのが正解とは限りません。
というのも、謝罪には以下のようなリスクが伴うからです。
事実関係を争えなくなる可能性がある
謝罪は「不倫の事実を認めた」と受け取られる可能性が高く、後から「実際は不貞行為はなかった」と主張しても信用されにくくなります。
慰謝料請求を受け入れたと解釈される
誠意のつもりで謝罪した結果、「責任を認めたのだから慰謝料を払うべきだ」と強く迫られることがあります。
不適切な謝罪がトラブルを悪化させることも
本人が直接会いに行ったり、不用意な言葉を使ったりすると、かえって相手を怒らせてしまい、訴訟に発展することもあります。
リスクを避けるための心構え
以上のようなリスクを避けるためには、謝罪するかどうかを慎重に検討し、する場合でもその内容や方法に細心の注意を払う必要があります。
【参考】不倫慰謝料の示談書作成のポイント
謝罪する場合の注意点

謝罪を選択する場合でも、次のような点に注意が必要です。
書面で行うのが望ましい
直接会って謝ると感情的なやりとりになりやすく、トラブルがエスカレートしがちです。
できれば、弁護士を通じて書面で謝罪の意思を伝えるのが安全です。
事実認定に関わる発言は避ける
「〇月〇日にホテルに行きました」などの具体的な事実を書くと、証拠として利用されかねません。
具体的な日時や場所を明記するような表現は避けましょう。
たとえば、「ご迷惑をおかけしました」などの抽象的な言い回しに留めるのが望ましいといえます。
金銭的責任を安易に認めない
謝罪はしても、慰謝料の支払いについては「検討中」とするなど、線引きをしておくことが大切です。
弁護士と相談しながら、謝罪文を慎重に作成するのが理想です。
【参考】不倫慰謝料の減額交渉の余地はある
慰謝料請求への対応

不倫に関する慰謝料請求は、金額や責任の程度について争いになることが多くあります。
相手の請求を鵜呑みにせず、請求書の内容をしっかり確認したうえで、冷静に対応することが重要です。
慰謝料の相場
慰謝料の金額は、状況によって大きく異なります。一般的な相場は以下のとおりです。
たとえば、既婚者と数か月程度交際した場合には、50万円程度でしょう。
長期間の不倫関係になった場合には、100万円から300万円程度が相場となります。
不倫が理由で配偶者と離婚に至った場合には、200万円から500万円程度の金額になります。
ただし、これらの金額はあくまで目安であり、次のような事情によって増減します。たとえば、
- 不倫の期間や頻度
- 不貞行為の証拠の有無
- 相手配偶者の精神的苦痛の程度
- 謝罪や誠意ある対応の有無
などです。
示談交渉のポイント
慰謝料請求を受けた場合、裁判になる前に示談で解決するのが一般的です。
示談交渉では、以下の点に注意しましょう。
支払方法の交渉
必要に応じて、金額だけでなく、支払い方法や期限も交渉することを忘れないようにしましょう。
分割払いや支払い猶予を求めることも可能です。
再発防止の約束や接触禁止条項の有無
示談書の中に「もう二度と会わない」といった文言が入る場合もあるので、内容をよく確認しましょう。
弁護士によるチェック
示談書は、署名・捺印する前に必ず、弁護士のチェックを受け、内容に問題がないか、著しく不利な点がないかなどを確認してもらいましょう。
一度署名してしまうと、後から取り消すのは困難です。
まとめ

不倫が発覚すると、多くの人がパニックに陥り、誤った判断をしてしまいがちです。
しかし、感情に流されて謝罪したり、慰謝料を請求されたとおりに支払ったりすると、自分の法的立場を不利にしてしまうおそれがあります。
まずは冷静に状況を整理し、弁護士に相談することで、最適な対応を選ぶことができます。
謝罪や慰謝料の支払いは、慎重な検討と適切な準備のうえで行うことが大切です。
万が一のトラブルに備えて、自分の権利と責任を理解し、感情ではなく法的な視点で対応するよう心がけましょう。
弁護士法人山本総合法律事務所は、不倫問題の解決の経験が豊富です。
慰謝料を請求される立場の方に寄り添い、最適な解決を導くことができます。
不倫が発覚してお困りの方は、お早めにご相談ください。





