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ご自身の配偶者(夫・妻)が不倫(不貞行為)をした際には、不倫相手に対し、精神的苦痛について慰謝料を請求できます。もっとも、不倫によって生じる損害は慰謝料だけではありません。
不倫相手に対して慰謝料以外に請求できる可能性があるものとしては、探偵の調査費用、弁護士費用、治療費、休業損害などが挙げられます。ただし、全く認められなかったり、一部しか認められなかったりするケースが多いです。どのような場合に認められるかを知っておけば、不倫相手に対して漏れなく請求ができます。
本記事では、不倫相手に対し、慰謝料以外に請求できるものについて解説しています。夫や妻が不倫をして、不倫相手に法的な請求をしたいと考えている方は、ぜひ最後までお読みください。
不倫相手に請求できる可能性があるもの
不倫(不貞)は民法上の不法行為に該当するため、不倫相手に損害賠償を請求できます。
不貞に関して請求できる金銭のうち、代表的なのが慰謝料です。慰謝料とは、精神的な苦痛に対する損害賠償です。不貞の場合、慰謝料額は数百万円にのぼるケースもあります。
精神面の損害に対しては慰謝料が支払われますが、他に不貞により財産上の損害が発生している場合もあるでしょう。たとえば、以下の損害です。
- 探偵の調査費用
- 弁護士費用
- うつ病などに罹患した際の治療費、休業損害
慰謝料以外のこれらの損害も、不倫相手に請求できる可能性があります。順に詳しくみていきましょう。
探偵の調査費用は請求できるか
不倫の事実を調査するために、探偵や興信所に調査を依頼する場合があります。不倫の証拠が十分になくても、探偵による調査を通じて決定的な証拠をつかめるケースは少なくありません。
探偵による調査結果は裁判でも有力な証拠になり得ますが、調査には多大な費用を要します。数十万円は当たり前で、中には数百万円かかる場合もあります。
探偵の調査費用を相手に請求できるかはケースバイケースです。裁判例でも判断が分かれており、全額認められたケース、一部認められたケース、一切認められなかったケースがいずれも存在します。
請求が認められやすいのは、「不貞を立証するために調査が必要であった」といえるケースです。配偶者が否定していて他に有力な証拠がなく、探偵による調査がなければ不倫を証明できなかったような場合には、調査費用が不貞行為と因果関係のある損害であるとされ、請求が認められる可能性が高まります。もっとも、要した全額の請求が認められるケースは少なく、一部のみにとどまる場合が多いです。
反対に一切請求が認められないのは、探偵の調査がなくても不貞を証明できるようなケースです。既に十分な証拠がある、配偶者や不倫相手が認めているといった事情があれば、調査の必要性がなく、調査費用の請求は認められません。
探偵の調査費用を請求できるかについては、調査する必要性があったかがポイントになります。
弁護士費用は請求できるか
損害賠償請求を弁護士に依頼した場合には、弁護士費用がかかります。不貞がなければ弁護士費用を支払う必要はなかったのであり、不倫相手に請求したいと考えるでしょう。
裁判で不貞による損害賠償請求が認められた場合、認められた金額の1割程度につき弁護士費用として支払いが命じられるのが通常です。たとえば、判決で弁護士費用以外の損害が100万円と認定されたときは、1割の10万円が別途弁護士費用として認められます。
実際に弁護士に支払う総費用は、認容額の1割を超える場合が多いです。したがって、一部は自己負担となってしまいます。納得がいかないかもしれませんが、実務上はこのような運用になっています。また、判決前に和解で終了する際には、弁護士費用は含めないのが一般的です。
治療費・休業損害は請求できるか
不倫されたことによる精神的なショックが原因で、うつ病などの精神疾患に罹患してしまうケースもあります。精神疾患になると治療費がかかったり、働けなくなって休業損害が生じたりします。
しかし、一般的には不倫されたことを理由とした治療費や休業損害は相手方に請求できません。不貞と病気・休業との因果関係を証明するのが難しいためです。「不倫によるショックが原因と医学的に証明できない」「他に要因があった」などと判断されてしまいます。
不貞行為との因果関係を証明できれば請求は可能ですが、多くのケースで証明できず、賠償を受けるのは現実には難しいです。ただし、病気になるほど大きな精神的苦痛を受けたとして、慰謝料を増額する理由にはなり得ます。
金銭以外に請求できること
これまでは、不倫相手に請求できる金銭について解説してきました。不貞の場合、慰謝料をはじめとする金銭が請求のメインになります。
では、金銭以外に請求できることはあるのでしょうか?
謝罪
「不倫相手に謝罪してほしい」と思う方は多いでしょう。
法律上、謝罪を強制することはできません。不貞を理由に訴訟をしても「謝罪せよ」との判決は出せないということです。
実際には、話し合いを通じて相手が謝罪に応じてくれる場合はあります。しかし義務ではないので、強要はできません。
接触の禁止
「二度と夫(妻)に会って欲しくない、連絡を取って欲しくない」と考えるかもしれません。
謝罪と同じように、判決で接触禁止を命じることはできません。話し合いの中で要求すれば、応じて和解書などに記載してもらえる可能性はあります。
配偶者と不倫相手が同じ職場にいるときに退職を求める方もいますが、相手にも生活がある以上、簡単には応じてもらえないでしょう。もちろん、法律上退職は強制できません。私的な接触はしないよう求めるなど、他のアプローチが考えられます。
【参考】不倫相手との交際をやめさせる方法
口外禁止
不倫された事実は、被害者であっても第三者には知られたくないかもしれません。交渉や裁判上の和解であれば、口外禁止条項を入れることは可能です。
ただし、通常は双方が口外禁止の義務を負います。不倫の事実を第三者に伝えると名誉毀損に該当するおそれもあるので避けてください。
このように、不倫相手に金銭支払い以外を強制することはできません。要求事項があるのであれば、裁判前の交渉や裁判中の和解の場において主張し、合意に含めるようにしてください。
不倫慰謝料のご相談は弁護士へ
ここまで、不倫相手に請求できるものについて解説してきました。
慰謝料以外にも、探偵の調査費用、弁護士費用、治療費などを請求できる可能性があります。もっとも、一部しか認められない、あるいは全く認められないケースも多いです。請求する際には、不貞行為と損害との間に因果関係があると証明する必要があります。
金銭以外の謝罪、接触禁止などの要求は、強制はできません。話し合いの中で求めれば、応じてもらえる可能性もあります。
いずれにしても、訴訟や交渉を自力でするのは簡単ではありません。弁護士への相談・依頼を検討しましょう。
不倫相手に対する請求をお考えの方は、弁護士法人山本総合法律事務所までご相談ください。
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不貞慰謝料に関する相談は無料です。夫や妻の不倫が発覚してお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。