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不倫・浮気が発覚し、相手から高額な慰謝料を請求されたものの、「払いたくてもお金がなくてどうしようもない…」と悩んでいる方も少なくありません。
慰謝料は、数百万円にのぼることもあり、収入や生活状況によっては一括で支払うことが難しいケースも多いです。
しかし、慰謝料の請求額は、相手の言い分どおりに支払わなければならないものではありません。
交渉次第で減額や分割払いが認められることもあり、実際に大幅に減額された事例も存在します。
一方で、何もせず放置すれば、裁判や財産の差押えに発展するリスクがあるため、早急な対応が必要です。
本記事では、不倫・浮気の慰謝料を支払う前に確認すべきことや経済的に支払いが難しい場合の対応方法、実際に減額が認められた事例などをわかりやすく解説します
不倫・浮気の慰謝料を支払う前に確認すべきこと
慰謝料を請求されたからといって、すぐに支払う必要はありません。まずは請求内容や金額が妥当かどうかを確認することが重要です。以下では、支払う前に必ずチェックしておきたい3つのポイントを説明します。
請求内容と事実に相違がないか
まず確認すべきは、相手が主張している内容に事実の誤りがないかどうかです。
たとえば、肉体関係の有無について相手が誤解している点が含まれている場合には、請求の妥当性そのものが崩れる可能性があります。事実と異なる内容に基づく請求に応じる必要はありません。
請求に応じる法的根拠があるか
一般的に、不倫・浮気の慰謝料請求は、不法行為に基づく損害賠償請求として行われますが、以下のようなケースでは慰謝料請求に応じる法的義務はありません。
- 肉体関係があったとしても既婚者であることを知らなかった
- 別居してから長期間経過していて婚姻関係が破綻していると評価できる
- 時効が成立している
つまり、「本当に支払う義務があるのか」という点を冷静に確認することが大切です。それには、法的観点からの検討が必要になりますので、早めに弁護士に相談するべきでしょう。
慰謝料額が相場を超えていないか
慰謝料の金額にはある程度の相場があります。
不倫・浮気の場合、数十万円から300万円程度が一般的な相場とされています。
これを大きく超える高額な請求を受けた場合には、交渉によって減額できる可能性が高いです。
相手が感情的になって法外な金額を請求しているケースも多いため、相場と照らし合わせて冷静に判断しましょう。
【参考】不倫慰謝料の減額交渉の余地はある
慰謝料を払うことが金銭的に難しい場合の対応方法
「払いたい気持ちはあるけれど、どうしてもお金が用意できない」という方も多いでしょう。そのような場合には、減額や分割払いを交渉することで、現実的に支払える範囲に収めることが可能です。
慰謝料の減額交渉をする
慰謝料を一括で支払うことが難しい場合、まず検討すべきなのが減額交渉です。
請求されている金額が相場より明らかに高額である場合には、以下のような事情を踏まえて交渉をすることで慰謝料の減額が認められる可能性があります。
- 不倫関係が短い、不貞行為の回数が少ない
- 婚姻期間が短い
- 不倫を理由に離婚や別居をしていない
- 誘ったのは相手からだった
このような減額要素があるなら弁護士に依頼して、法的観点から適切な金額を主張ことで、減額に結びつく可能性が高まります。
分割払いの交渉をする
請求されている金額が相場どおりだと慰謝料の減額は難しいですが、そのような場合は分割払いの提案をしてみるとよいでしょう。
毎月一定額を支払う形であれば、生活を維持しながら誠実に対応することができます。
相手にとっても「回収不能になるよりは分割で確実に支払ってもらう方がいい」と考えるケースは多く、合意が得られやすい方法です。
経済状況は慰謝料を減額する理由になる?
慰謝料は「不法行為に対する損害賠償」であるため、単に「お金がない」という理由だけで減額が認められるわけではありません。
法律上は、支払義務の有無や金額は行為の悪質性や夫婦関係への影響などによって判断され、経済状況は直接的な基準にはならないからです。
しかし、現実には支払能力が極めて低い場合や一括での支払いが困難な場合には、交渉を通じて減額や分割払いが受け入れられるケースもあります。
相手としても「全く支払ってもらえない」よりは「現実的に回収できる範囲」で合意する方が得策だからです。
特に、弁護士を介して収入や生活状況を丁寧に説明すれば、相手も応じてくれる可能性が高まります。
【参考】慰謝料を減額したい
慰謝料を減額することができた事例
実際に慰謝料が減額されたケースを知ることで、自分の状況でも可能性があるかどうかがイメージしやすくなります。以下では、慰謝料の減額に成功した事例を3つ紹介します。
慰謝料400万円の請求が100万円に減額された事例
ご依頼者様は「慰謝料400万円を支払うように」という通知を受け、大きな不安を抱えて相談に来られました。
面談では不貞の期間や回数、相手夫婦の状況を丁寧に確認し、交渉を当事務所に依頼されました。
相手方は、高額請求に加えて接触禁止も強く求めていましたが、現実的に困難な条件であったため、弁護士が粘り強く調整しました。
その結果、当初の400万円という請求は100万円にまで大幅に減額され、接触条件も緩和されました。
今回のケースでは、不貞の回数が多くなかったことや、相手方夫婦が離婚せず修復を目指していた点が有利に働きました。
このように慰謝料は請求通りに支払う必要はなく、事案に応じて減額が可能な場合があります。
不倫慰謝料300万円を100万円に減額し、分割払いで解決した事例
ご依頼者様は、不倫相手の配偶者から弁護士を通じて300万円の慰謝料を請求され、「とても支払えない」と強い不安を抱えて相談に来られました。
過去に本人へ電話で「肉体関係を認めてしまった」との事情もあり、不利な状況でのスタートでした。
しかし、交際を主導したのは相手側であったこと、期間が短かったこと、夫婦が離婚していないことなどを整理し、減額の余地があると判断しました。
さらに「求償権を行使しない」という条件を交渉材料に加えた結果、最終的に慰謝料は100万円まで減額されました。
また、一括払いではなく「初回50万円・残りを月5万円ずつ分割払い」という形で合意でき、ご依頼者様の経済的負担を大きく軽減する解決につながりました。
【参考】不倫慰謝料を300万円から100万円に減額し、分割払いで解決した事例
500万円を200万円に減額した事例
ご依頼者様は、不貞関係の発覚により、相手方から500万円もの高額な慰謝料を請求されました。
不貞自体は認めていたものの、「金額が妥当なのか」「減額できるのか」という不安を抱え、当事務所に相談されました。
詳細を確認したところ、不貞の期間や回数は限定的であり、さらに相手方は不貞相手からすでに一定の金銭を受け取っていた事実も判明しました。
このような場合、二重請求にあたる可能性があるため、慰謝料額を制限すべきと主張しました。
加えて、ご依頼者様のプライバシー保護のため、示談書には「口外禁止条項」を盛り込むよう交渉しました。
その結果、請求額は200万円にまで減額され、秘密保持の条件も合意に至りました。過大請求であっても、法的根拠を踏まえて交渉することで大幅な減額が可能になる典型例といえます。
まとめ
不倫・浮気の慰謝料を請求されても、必ずしも相手の主張どおりの金額を支払わなければならないわけではありません。
請求内容や法的根拠を確認し、交渉によって減額や分割払いに応じてもらえる可能性があります。
実際に、当初数百万円を請求されていた事案でも、大幅な減額や現実的な支払条件を実現した事例もあります。
重要なのは、請求を放置せず、早い段階で適切な対応をとることです。
弁護士法人山本総合法律事務所では、不倫慰謝料の交渉に豊富な実績があり、ご依頼者の経済的・精神的負担を軽減する解決を目指しています。
「慰謝料を払えない」と悩んでいる方は、一人で抱え込まず、ぜひ一度ご相談ください。