300万円の請求を100万円に減額した事例

慰謝料減額
- 性 別
- 男性
- 年 齢
- 20代
- 職 業
- 自営業
依頼前の請求額300万円
依頼後の請求額100万円
ご相談・ご依頼のきっかけ
今回ご相談に来られたのは、既婚者と不貞関係にあったことで、突然、高額な慰謝料を請求されたという方です。依頼者は、不貞相手とホテルで密会した後、ホテルの出入口を出たところで、相手の配偶者に待ち伏せされていたとのことです。その場で不貞関係が発覚し、後日、配偶者側が依頼した弁護士から内容証明郵便が届きました。
その文書には、不貞行為に対する慰謝料として300万円を支払うよう求める旨が記載されており、支払期限までに対応しなければ法的手続きに移行する可能性があるという警告も含まれていました。突然の出来事と多額の請求に、依頼者は大きな不安を抱え、当職に相談されました。
依頼者は、肉体関係をもったことについては事実であると認めていました。しかし、受任通知(弁護士からの請求書)に記載されている内容には、事実と異なる点が複数あるとのことでした。また、慰謝料として300万円という金額が妥当なのかどうか、減額できる余地があるのかについても分からず、不安を感じていらっしゃいました。
当職においては、まず慰謝料請求の相場や判断基準について丁寧にご説明しました。一般的に、不貞行為に対する慰謝料の金額は、不貞の期間、配偶者との婚姻関係の破綻度合い、不貞の相手方の認識(既婚者であることを知っていたかどうか)など、さまざまな事情を考慮して決まります。
今回のように、事実関係に争いがある場合や、相手配偶者が過大な主張をしている可能性がある場合には、交渉によって慰謝料の減額が認められることも少なくありません。特に、婚姻関係がすでに破綻していたと考えられるような事情があれば、慰謝料の支払責任自体が否定される可能性もあります。
依頼者には、今後の対応としては、安易に請求額を受け入れて支払うのではなく、まずは冷静に事実関係を整理し、主張すべき点をきちんと主張したうえで交渉を行うべきであるとご提案いたしました。
当職の説明を受け、依頼者としても「感情的にならず、専門的な視点で交渉を進めてもらいたい」との思いから、正式に当職にご依頼をいただくこととなりました。
相談詳細
ご依頼を受けた後、当職ではまず、依頼者から不貞行為に至った背景や経緯について、詳しく事情をお伺いしました。単に「肉体関係があった」という事実だけでなく、どのような経過をたどって関係が始まり、どのような頻度・期間で関係が継続していたのか、またその際の双方の認識ややり取りの内容についても丁寧に確認しました。
事実関係の整理と資料の精査が完了した後、当職から相手方弁護士に対して連絡を取り、示談交渉を開始しました。慰謝料請求に対しては、依頼者の立場や当時の状況、婚姻関係の実態、不貞行為の程度などを踏まえ、必要に応じて反論を行いつつ、冷静かつ丁寧に交渉を進めました。
交渉の過程では、請求金額が過大であると考えられる部分について根拠を求め、また当方の主張に基づいて減額の余地を探るやり取りが行われました。やり取りの中で、双方が一定の条件で合意に至る可能性が見えてきたため、合意のための具体的な金額や支払い方法などを細かく調整しました。
最終的には、依頼者・相手方双方が納得できる金額で合意が成立し、当職において示談合意書を作成。両当事者が署名・押印することで、正式に示談が成立いたしました。
これにより、依頼者は今後の法的リスクを回避しつつ、早期解決を図ることができました。
解決のポイント
ご依頼を受けた段階で、不貞相手とその配偶者の間では、すでに家庭裁判所において離婚調停が開始されていました。当職においては、調停の進捗状況を確認するため、依頼者から得られた情報をもとに、必要に応じて相手方の弁護士とも連絡を取り、調停の現状を把握しました。
不貞の慰謝料の金額については、不貞の期間や回数、離婚の有無など個々の事情により変動しますが、不貞により離婚となった場合には、慰謝料の金額が大きく増額する傾向にあります。他方で本件では、経緯や時系列に考慮すべき事情があり、不貞の期間が短く、回数も多くありまんでした。そこで、その点を主張し、減額の交渉を行いました。
当初相手方弁護士も離婚することを強調し、減額には難色を示していましたが、最終的には100万円の慰謝料で合意に至りました。